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4月のトピック ー ジェネリック医薬品

令和6年10月から後発医薬品(ジェネリック医薬品)があるお薬で、先発医薬品の処方を希望される場合は、「選定療養費」という特別の料金を支払うことになりました。

「選定療養費」は「先発医薬品と後発医薬品の価格差の4分の1相当の料金」なので、例えば、先発医薬品の価格が1錠100円、後発医薬品の価格が1錠60円の場合、差額40円の4分の1である10円に、消費税を加えたものを、通常の1~3割の患者負担とは別に特別の料金として支払わなくてはいけません。後発医薬品がいくつか存在する場合は、薬価が一番高い後発医薬品との価格差で計算します。

今回は、後発医薬品(ジェネリック医薬品)について学んで、より良い治療を受けられるようにしましょう。

おくすりは「医療用医薬品」と「一般用医薬品」の2つに分けられます。

医療用医薬品は、医師の診断によって処方されるおくすりのことで、患者さんが自由に購入することはできません。これに対して一般用医薬品は、いわゆる市販薬(大衆薬またはOTC:Over The Counter Drug)のことで、ドラッグストア・薬局などで処方箋無しで購入できるおくすりです。
さらに、医療用医薬品は「新薬(先発医薬品)」と「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」に分けられます。新薬は、9~17年もの歳月と、数百億円以上の費用をかけて開発されるので、開発した製薬会社には、特許や独占期間の付与によりその期間、そのおくすりを独占的に製造・販売する権利が与えられます。しかし、特許期間が過ぎると、その権利は国民の共有財産となるため、他の製薬会社から同じ有効成分を使ったおくすりが製造・販売できるようになります。それが、ジェネリック医薬品です。新薬に比べ開発費や開発期間が少ないために、新薬より低価格で販売されます。

医薬品 医療用医薬品 新薬 ジェネリック医薬品 一般用医薬品(OTC)

新薬とジェネリック医薬品で同一なのは「有効成分」だけです。

同じでなければいけないところ 有効成分の種類・量 違っていてもよいところ 形や大きさ 色 味 添加剤など 添加剤 有効成分 品質・有効性・安全性が同等 新薬 ジェネリック医薬品

添加剤が異なっても同等の有効性を示せるように、「体内への吸収速度の同等性」を評価する生物学的同等性試験が行われているので、体内への有効成分の吸収度合いは同等であるとされています。多くの場合、添加剤が異なっても、効き目や安全性に影響はありませんが、アレルギーをお持ちの方は、添加剤の成分がアレルギーを起こすことがあり、先発医薬品では平気だったのにジェネリックに変えたらアレルギー反応が起きた、または、この逆のケースが起こりえます。

新薬 規格試験 溶出試験 同等性を確認しています 生物学的同等性試験 安定性試験 ジェネリック医薬品

1.規格試験 有効成分の純度や量を確認する試験 2. 溶出試験 新薬と同じように体内で溶けるか確認する試験 3. 生物学的同等性試験 新薬と同じ早さで同じ量の有効成分が体内に吸収されるか確認する試験 4. 安定性試験 品質が温度や光などに影響されず、長期に保存しても変化がないかどうかを確認する試験

このような違いを避けるための製品としては、オーサライズドジェネリック(AG)というものがあります。

オーサライズドジェネリック(Authorized Generic)というのは、先発医薬品メーカーから許諾を受けたジェネリック医薬品のことで、略して「エージー(AG)」とも呼ばれます。

    「オーソライズド(Authorized)」=「許諾を受けた」

一般的なジェネリック医薬品は、先発医薬品と有効成分・効能効果が同一ですが、その他は異なる場合があります。もちろん製造工程は違います。

AGは薬の有効成分である原薬、添加剤、製造方法等が先発品と同じジェネリック医薬品です。AGもジェネリック医薬品なので、選定療養費の対象にはなりませんから、先発医薬品と同じものなのに、お薬代の負担を軽減することができます。

AGは、製造方法のプロセスの相違で、3つの種類に分類されます。

1つ目(AG1)は、先発医薬品メーカーの原薬、製法、技術、製造ライン(工場)を用いて製造し、後発医薬品メーカーが販売するものです。

2つ目(AG2)は、先発医薬品と同じ原薬、添加物、製法を用いて製造を用いて後発医薬品メーカーが製造するものです。

3つ目(AG3)は、先発医薬品とは異なる原薬を用いて、同じ製法で後発医薬品メーカーが製造する方法です

種類 生物学的
同等性試験
原薬
製法
技術
製造ライン(工場)
不要 同一 同一 同一 同一
必要 同一 同一 異なる 異なる
必要 異なる 同一 異なる 異なる

AGだからといって、先発医薬品と全てが同じというわけではありませんが、AGがあればAGを選んだ方が品質は良いことが多いです。AG1がある医薬品はできるだけ、AG1を選ぶようにしましょう。

AG一覧: https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/ag/

少し古いですが、AG1のリスト(https://www.hokeni.org/_files/00010511/ag_ichiran.pdf)もありますから、賢くお薬を選ぶようにしましょう。

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