こんにちは。
毎日ニュースでコロナウイルスのことが報道されていますね。
東京では600人台、大阪では1200人台と多くの方が感染されています。
こんな質問を頂きました。
「去年は、コロナウイルスは若い人はかかり難い、って言っていたのに
最近は若い人でかかった人が多いと報道されています。
なにかウイルスが感染しやすくなるとか、変わったのでしょうか?」
コロナウイルスはもともとコウモリなどに常在しているウイルスです。
何かの動物を介してヒトに感染できるように変化したために
ヒトに病気を起こすようになりました。
ウイルスがヒトに感染するためには、
ヒトの細胞の表面にあるレセプターに結合して細胞に入り込みます。
去年、感染が始まった頃には、まだヒトに完全に馴染んでいなかったので、
全部のウイルスが感染できた訳ではなかったのです。
ヒトに感染するためにはたくさんのウイルスが入り込む必要がありました。
たくさんのウイルスを一瞬で取り込むことはできませんから、
「ウイルスのいる空気を何回も何回も呼吸してたくさんのウイルスを取り込む」
必要がありました。
これが「三密」の正体です。
ウイルスが逃げないように「換気の悪い密閉した空間で」
ウイルスの濃度が濃くなるように「密集」「密接」して
何回も何回もウイルスを含んだ空気を吸い込むことで
たくさんのウイルスを吸入することでようやく感染することができたのです。
また、ウイルスがくっつくレセプターは個体差がありますから、
コウモリに似た部分のあるレセプターを持つヒトもいる代わりに、
コウモリに全く似ていないレセプターを持つヒトもいます。
全く似ていないレセプターを持つヒトには感染しにくいのですが、
もともとの宿主に似たレセプターを持つヒトには感染しやすいのです。
これがスーパースプレッダーとなって感染を広げていきました。
また、ヒトに感染してもまだまだウイルスは自由に増えることができなかったので、
長い時間をかけて少しずつ増えていきました。
これが長い潜伏期間の正体です。
感染してから発症するまでの時間が長かったので、
免疫力の強い若い人ではウイルスが排除されやすく、若い人での発症が少なく見えましたし、無症状の感染者も多くみられました。
これに対して免疫力の劣った高齢者ではウイルスがうまく排除できず、
ウイルスが大量に増えてしまうので過剰な免疫反応が生じて、サイトカインストームと言われる状態となって重症化していました。
しかし、多くの人が感染していく中で、よりヒトに感染しやすく、ヒトの体内で増殖しやすいウイルスが残ります。
ウイルスがヒトに感染しやすくなると、少ないウイルスの数で感染が成立してしまうので、
インフルエンザのように「三密でなくても感染する」ようになります。
通勤環境などは、三密環境のように確実に感染するような状態ではないですから、
一見感染効率は悪くなるのですが、時間当たりに接触する人の数は多くなるため
実際に移す人の数は増えるので、感染者数の実数は増えていきます。
また、ヒトの体内で増殖しやすくなると、感染してから発症するまでの時間、つまり潜伏期間が短くなります。
また、短い時間で大量のウイルスが複製されるようになるので、若い人でも症状が強く出るようになり、また、無症状の人は少なくなります。
高齢の方の行動範囲は比較的限定されていてそんなに広くはないので、
都市部と地方の高齢者の行動範囲が重なることは少ないため
都市の感染拡大が地方の居住区域まで持ち込まれることは少なかったのです。
このため、地方にはウイルスがあまり持ち込まれないですみました。
ところが、若い人は高齢者に比べて移動力が大きく移動範囲が広いので、
若い人の体内でもウイルスが十分増殖できるようになってくると
都市部の若年・壮年者と地方の若年・壮年者の生活圏が重なります。
こうなると、
東京・大阪などの大都市→地方中核都市→地方都市→地方居住区域
と、ハブ&スポークの形で感染が拡大しますが、
地方都市や地方居住区域は今までウイルスがあまり持ち込まれていないので
ウイルスに対する自然免疫が全くない状態です。
そこに一気にヒトの感染に馴染んだウイルスが入り込むことによって
地方での感染も増加します。
今は「第4波」に入ったところだと思いますが、
第4波は東京・大阪の大都市だけではなく、地方都市・居住区域で若い人にも感染が広がります。
今後10代以下の若年層に感染が広がるようになると、学校がクラスターになるリスクがあります。
変異についてはまた今度説明しますね。