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インフルエンザワクチンの供給についての当院の考え方

インフルエンザワクチンの供給についての当院の考え方

テレビやメディアでは「インフルエンザワクチンが足りない」などの報道がされていますが、当院のインフルエンザワクチンの接種枠にはまだ余裕があります。

厚労省は、12月中旬ごろには例年の使用量程度の供給に追い付くとしています。

厚生労働省健康局健康課からの事務連絡

・令和3年10月現在の供給予定量は約2,818万本(1mlを1本に換算)の見込みとなり、本年8月時点の高位推計供給予定量(約2,792万本)より少し多い供給量となる。

・今年度のインフルエンザワクチンは、製造効率等が特に良かった昨年度とは異なり、例年と同程度の製造効率等である。

・平成8年以降で最大となった昨年の使用量と比較すると少ないが、例年の使用量に相当する程度は供給される見込み。

   

例年のインフルエンザワクチンの使用量が約2,500~2,600万本ですので、今年も例年並みに供給されます。供給量も昨年(2020‐2021シーズン)に比べて少ないのは確かですが、使用量がかなり多かった一昨年(2019-2020シーズン)の使用量が2,825万本ですから、今年の供給量はしっかり確保されていることが分かります。3歳以上のワクチン接種量は1人/回当たり0.5mlですので、5,600万人分はあることになります。

また、インフルエンザワクチンの供給が遅れているのは世界的なワクチン需要の高騰からワクチン製造資材の入手遅延等があったためで、この結果供給ペースが昨年度よりも遅れていますが、12月中旬頃まで順次出荷が続き、12月第3週位までには例年並みになるはずです。

…とは言うものの、メディアや一部の専門家がワクチン不足を煽っているため、一部に「パニック」のような形でワクチン需要が発生していることも事実ですし、需要ぎりぎりの供給量になると予想されるので、タイミングによっては局所的に「打ちたい時にワクチンがない」という状況になることもあり得ます。

参考までに2019‐2020年シーズンの接種状況データを見てみると、下記のようになっていて2回接種をしている青年期~成人期の方もいらっしゃいます。

日本小児科学会では、「6カ月~13歳未満については2回接種、13歳以上については1回もしくは2回接種」を推奨していましたが、昨年から厚生労働省は「13歳以上の方は原則1回注射としていただく」という指針を出しております。また、2回接種する場合は、3週間以上、できれば4週間あけて接種する方がより効果的です。

一方、世界保健機関(WHO)、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)では、6ヶ月~9歳未満については1~2回としていますが、過去に2回接種歴があれば1回でよい、とされていて、9歳以上は 1回接種となっています。

このため、当院では、インフルエンザワクチンの効率的な接種を行うため、日本方式と海外方式の中間をとって下記のような接種方法を推奨させて頂いております。

まず、前提として、慢性呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、神経疾患、血液・代謝性疾患(喘息・糖尿病を含む)、免疫不全などの基礎疾患があるお子さんに関しては、年齢にかかわらず2回接種が推奨です。

6か月から3歳未満のお子さんで、今までにインフルエンザに罹ったことがない場合は、インフルワクチンを接種しても重症化予防が主になり、発症予防効果はあまり強くありません。この年齢ではまだ免疫が十分ではないので、2回接種してください。

3歳以上から8歳(小学3年)のお子さんでは、インフルエンザに罹ったことがあるお子さんが多い年代ですので、ブースター効果による発症予防が期待できます。インフルエンザ罹患歴が十分であればワクチン接種は1回でも、2回でも抗体獲得率は大きく変わりませんが、年長さんまではインフルエンザ罹患歴が少ないので2回接種が必要です。小学1年生~小学3年生で、過去にインフルエンザワクチンを接種したことが無い、又は1回しか接種したことが無いお子さんも2回接種が必要です。複数年であってもよいので過去に2回以上インフルエンザワクチンを接種したことがあるお子さんは 今年は1回接種のみでも平気だと思います。

9歳(小学4年)以上のお子さんでは、ほとんどがインフルエンザに罹患したことがある年代ですから、ブースター効果が期待できるので、重症予防効果だけではなく、ワクチン本来の効果である「発症予防効果」が期待できます。小学4年生以上では、過去の接種歴に関係なく、すべての方が1回接種のみで平気だと考えます。

13歳(中学2年)以上の場合にはすべての方に1回接種を原則としています。

まとめると、次のようになります。

・慢性呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、神経疾患、血液・代謝性疾患(喘息・糖尿病を含む)、免疫不全などの基礎疾患があるお子さん: 年齢にかかわらず2回接種

・6か月から年長さんまで: 2回接種

・小学1年~3年: 過去にインフルエンザワクチン接種歴が1回以下の場合は2回接種、2回以上の接種歴がある場合は1回接種

・小学4年以上: 原則として1回接種

ただし、上記はあくまでも当院の推奨方法ですから、学校や親御さんのお考えもあると思いますので、当院にご相談いただければと思います。

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