3回目のコロナワクチン接種も進んできました。
問診でお話をさせて頂く中で、多くの方がネット上のワクチンに関するデマ情報に不安を感じていらっしゃることが、改めて確認できました。
みなさん、デマ情報に惑わされないでくださいね。
1 コロナワクチンで不妊になるの?
これは古典的なワクチンに関するデマです。どういう訳だか、どんなワクチンが世の中に出てきても必ずこのデマが流れます。
ワクチンや医薬品を開発するときには、人体に投与する前に動物実験などでいろいろな毒性検査を実施するのですが、妊娠への影響の有無は最も大事な検査項目の1つです。
もし万が一、妊娠に何らかの影響を与えたり、不妊になるような傾向が見られたら、その時点で開発は中止で、ヒトの開発に進むことはありません。
現在、妊娠に影響を与えるようなワクチンはありません。どんなワクチンであれ「ワクチンで不妊になる」というのは100%デタラメですので、絶対に信じないでください。
2 ワクチンを打った動物が死んだの?
これも不思議なデマです。ワクチンの開発でヒトに投与する前に必ず動物に接種実験を行います。この時に動物が死ぬようなことがあれば、その原因は徹底的に究明されます。
もしワクチンが原因の可能性が少しでもあれば、そのワクチンの開発は中止します。
ワクチンは原則として健常者に投与しますので、安全性の確認は最も大切な事項なのです。
3 マイクロチップが入っているの?5Gにつながるの?
これは去年流行していましたが、笑うしかない「デマにもなっていないデタラメ」ですね。「ありえません」としか言いようがないですが(笑)。
そもそもパンデミック時のワクチンは1人用の個別バイアルではなく、パンデミックバイアルと言って5~10人用のワクチンが入ったバイアルから1人分ずつ注射器に吸います。
パンデミックバイアルからどうやって均等に注射器(シリンジ)に吸うのでしょう?
それに、ワクチンを投与する針は25~27Gですので、内径で0.26~0.19mmになります。日本人の髪の毛の太さが0.08mmですからね。
お笑いレベルのネタです。
4 臨床試験を省略して早く承認したの?
臨床試験や安全性の確認は一切省略されていません。
テレビで、よくわかっていないコメンテーターが「本当は10年かかるところを短い期間で開発した」とか言っているので誤解されたのでしょう。
今回使われているmRNAワクチンの元々の技術は2002年のSARSの流行の後ぐらいから開発されてきたもので、かなり長い研究開発の歴史のある技術です。
日本の承認は海外で行われた大規模臨床試験のデータに基づいて承認されていますので、国内では大した臨床試験をやっていませんが、これはいつものことですから。
5 安全性データが十分じゃないのに使っているの?
日本のワクチンは数百人~千人レベルのサイズの治験データで承認されていますが、グローバル・スタンダードで言うと、インフルエンザワクチンで数万人レベルの治験を行います。
日本の国産ワクチンが優れていると信じている人もいますが、残念ながらデータサイズで言うと、グローバル開発されているワクチンに比較すると格段に見劣りします。
今回のファイザーやモデルナのワクチンは、そもそも治験どころか、日本だけでも数千万人、世界では何十億人がワクチン接種を受けているので、今までにない規模の安全性データがそろっています。