今年の花粉症はひどいですね…
目がかゆい、鼻水が出る、くしゃみが止まらない、だけではなく、皮膚がピリピリするとか、中には喘息のような咳が出る方もいらっしゃいます。
去年までは薬局で売っているお薬で何とかなっていたのに今年はがまんできない、という方も多いようです。
当院では、症状に合わせて3種類のお薬を組み合わせて処方させて頂いています。
1つめは、点鼻ステロイド薬です。このお薬が治療の中心になります。当院ではアラミストというお薬を使うことが多いです。
点鼻ステロイドは炎症反応自体を止めてくれるので、花粉症治療の中心となります。
アラミストは体内にはほとんど吸収されないので全身性の副作用のリスクが極めて低いことと、他の点鼻ステロイド薬は目に対する効果はないのに、アラミストだけは眼症状の改善効果もあるのが大きな特徴です。また、このお薬は成人では1日1回各鼻腔に2噴霧、お子さんの場合には1日1回各鼻腔に1噴霧ずつとなり、12歳未満のお子さんにも使うことができます。
薬局で売っている点鼻薬はほとんどが血管収縮薬がメインで、血管を収縮させて鼻水を止めるお薬で、これらのお薬は即効性がある反面、効果の積み重ねはありませんから、「症状がある時だけ使う」お薬です。
これに対して点鼻ステロイド剤は「使ってすぐ効く薬ではなく、積み重ねで効果が出る薬」なので、「症状があってもなくても毎日使い続けること」が大切です。
「鼻に噴霧するお薬」ということで、点鼻ステロイド剤を鼻水がひどい時だけに使ったり、市販の血管収縮薬を毎日使い続けたり…と間違った使い方をしている方が非常に多いのですが、それだと十分な効果が得られません。
点鼻ステロイド(主に処方薬) = 症状の有無に関わらず毎日忘れずきちんと使う
血管収縮薬(主に市販薬) = 症状に合わせて適時使う
と使うことが大切です。きちんと使えば点鼻ステロイドだけでも、かなりの症状を改善することができます。
当院で処方する2つ目の薬は抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)の飲み薬です。アレルギー反応の実行犯であるヒスタミンをブロックして鼻水や涙を止める薬です。
ここで注意していただきたいことは、「抗ヒスタミン薬は基本眠くなるお薬だ」ということです。抗ヒスタミン薬としての作用が強ければ眠気も強くなりますし、眠気が弱ければ抗ヒスタミン薬として作用も弱くなります。
アレグラというお薬をご存じだと思いますが、アレグラは抗ヒスタミン薬としての効果は最弱なのですが、その分眠気も少ないので「眠くなりにくい」という宣伝文句で使われています。効果が弱いことと、1日2回飲まなくてはいけないことが弱点ですね。
私が開発責任者として開発した薬がザイザル(レボセチリジン)です。効果と眠気のバランスが良いことと、1日1回で済むこと、通常用量は5mgですが、症状に応じて10mgまで増やせること、割線が入っていて半分に割れるので、2.5、5、7.5、10と症状に合わせた量を使えること、液剤もあるので子どもや老人でも使いやすいこと、小児用量が設定されていることなど、使いやすいようにしてあります。
ザイザルは既にジェネリックが出ているのですが、先発品と同じ薬がAG(オーサライズドジェネリック)として武田テバから発売されているので、武田テバ製を使えば安く良い薬が使えるのも良い点ですね。世間でいうほど眠気が少ない訳ではなく、倦怠感が出ることがあるのが弱点です。
今はビラノアという薬が眠気が少なくて効果が良く1日1回の服用で良いので、花粉症には最適だと思いますが、ジェネリックがないこと、症状に合わせて増減量ができないこと、錠剤が大きいことが弱点かと思います。
これら抗ヒスタミン薬は経口剤なので飲めば15~30分で効きますから、眠気が気になる場合には、「今日はひどいなあ」と思ってから飲んでも十分です。そのためにも点鼻ステロイド薬を毎日使っておくことで、「症状が起きにくい状態」にしておくことが大切です。
当院で処方する3つ目の薬は抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)の点眼薬です。
今年は多くの方がマスクをしていたこともあり、また、花粉飛散量が多いので鼻よりも目の症状を強く訴える方が多いようです。
効果はパタノール(オロパタジン)点眼の方が強いのですが、アレジオン(エピナスチン)点眼には防腐剤の入っていないLXという製剤があるので、デイリーなどのコンタクトレンズ使用の方は、価格は高いですがアレジオンLXを選ぶと良いかと思います。
安くて良い効果を、という方や、コンタクトレンズは使っていない、という方はパタノール点眼かLXではないアレジオン点眼を使うと良いでしょう。
薬局で買える花粉症のお薬は相当古い世代の治療薬ですから、症状に合わせて処方薬を組み合わせて使えば大分楽になります。
花粉症でお困りの方はどうぞご相談にいらして下さい。