アレルギー性鼻炎でお困りの方も多いかと思います。
アレルギー性鼻炎には、スギ花粉やヒノキ花粉などが原因となって毎年同じ季節に起こる「季節性アレルギー性鼻炎」と、ハウスダストなどが原因となって、季節に関係なく年間通して起こる「通年性アレルギー性鼻炎」とがあります。
今ではアレルギー性鼻炎の治療に広く使われるようになっている点鼻ステロイド剤や眠くなりにくい抗ヒスタミン剤の開発を行ってきましたので、季節性や通年性のアレルギー性鼻炎は当院の得意とする治療領域の１つです。
季節性アレルギー性鼻炎のうちのスギ花粉症と、季節性／通年性アレルギー性鼻炎の原因の１つであるハウスダストによるアレルギー性鼻炎には、舌下免疫療法という方法があります。
「舌下免疫療法」は、アレルゲンが配合された治療薬を「舌の下」にしばらく含んでから飲み込んで、毎日少しずつ免疫をつくっていく減感作療法の一種です。減感作療法は、原因となる物質（アレルゲン）を体内に少しずつ取り入れて体を徐々にアレルゲンに慣らしていく治療法で、2014年に舌下免疫療法が開始されるまでは皮下注射による方法が主流でした。
しかし、舌下免疫療法のほうが簡便で続けやすいため高い効果が得られることもあって、今では舌下免疫療法が主流になっています。
当院では、スギ花粉症に対する舌下免疫療法（シダキュア）と・ダニアレルギーに対する舌下免疫療法（ミティキュア）を使って舌下免疫療法を行います。
舌下免疫療法はアレルギー性鼻炎の根治が可能な治療法なのですが、そのためには治療に3～5年ぐらいかかり、すぐ効果が出る治療法ではありません。ただ、臨床試験で確認できた範囲でもおよそ80%方に効果があり、このうち、20%の方では症状が出なくなり、残りの60%の方も症状の改善がみられました。しっかり治療にお付き合いいただければとても有効性の高い方法だと思います。当院では、患者さまが安心して治療を継続していただけるようにサポートいたします。
１つ注意点としては、スギ花粉症に対する舌下免疫療法（シダキュア）は、スギ花粉の飛散時期には治療を開始することができません。
このため、新しく治療を開始できるのは年内12月ぐらいか、来年1月初めぐらいまでとなり、1～2月ぐらいからゴールデンウィーク明けぐらいまでのスギ花粉の飛散期間は、シダキュアによる舌下免疫療法を始めることはできなくなります。すでに治療を始めている方はこの期間も治療を続けることはできますのでご安心下さいね。
年内に治療を始めておけば、来年のスギ花粉症のシーズンには症状を軽くすることができると思います。もちろん、症状は出るかもしれませんが、その時には点鼻薬や飲み薬をうまく組み合わせることで、症状をコントロールすることができます。
来年のスギ花粉飛散時期の前に舌下免疫療法を行いたい、という方はなるべく早く受診していただくことをお勧めいたします。
ダニアレルギーの治療にはこのような季節の制限はありませんので、いつでも治療を開始することができます。
舌下免疫療法の対象は、5歳以上のスギ花粉症／ダニアレルギーの方です。アレルギー検査の結果が必要となりますので、すでに当院以外で検査をされている方は結果をお持ちいただくと良いかと思います。
もちろん検査結果をお持ちでない場合には、当院で検査をしますのでご安心下さい。
