HOME > ブログ > コロナの今後
コロナの今後

コロナの今後

オミクロン株が増えてきています。

このブログでも何度もお話をしているように、コロナウイルスは動物由来ウイルスですので、徐々にヒトになじんでいく方向に変化をします。

この変化には一定の方向性があり、ヒトになじんでいくにしたがって、次のような変化が起こります。

 #感染から発症までの期間(潜伏期間)が短くなっていく

 #最初は高齢者が発症しやすいが、徐々に中高年→若年者へと若い人でも発症するようになる

 #当初は下気道の症状(肺炎など)が主症状だが、徐々に上気道の症状が主体となる

 #当初は感染には密室で密着して長時間の接触が必要(三密)が必要だが、徐々に屋外や短時間の接触でも感染するようになる

 #当初は感染しても、他の人にうつしやすい人(スーパースプレッダー)とうつしにくい人がいるが、だんだんと、感染すると誰もが他の人にうつすようになっていく

これを「風邪のようになっていく」と表現すればそうなのでしょうが、例え風邪のようになったとしても、患者数の問題があります。

最初の状態では感染が拡大しづらいのですが、ワクチンも治療法もありませんから、感染対象となる母集団が「全人口」になりますので、感染者総数は多くなります。しかも重症化しやすい下気道への感染が主ですから、重症化率、死亡率も高くなります。

つまり、感染率×感染対象人口 が感染者数、感染者数×重症化率 で重症者数となります。また、この時期は人口密集地帯である都市部が感染主体となります。例えば東京がメインであれば1200万人の全人口が感染対象ですから、感染率が0.1%と低くても感染者数は1万2000人程度になり、重症化率が10%あれば1200人が重症化します。

ところが、オミクロン的な変化が起きて感染率が1%に変化すると、状況は一変します。感染しやすくなったウイルスは非人口密集地帯である非都市部でも感染が広がりやすくなります。確かにワクチンで感染予防が成立している人も多くいますから、全人口のうち70%のワクチン接種率でワクチン有効率が80%としすると、全人口1億2000万人のうちワクチンで守られている人は6700万人になりますが、変異でワクチン効果が30%低下すると、ワクチンで守られている人は4700万人まで減少してしまいます。これだと全人口の40%程度しかカバーしていないことになり、ワクチンによる集団免疫効果は著しく低下してしまいます。ワクチンを打った人が感染しない、としても感染者数は70万人以上となり、重症化率が2%に低下したとしても1万5000人が重症化します。しかも、潜伏期間が短くなっているので、この数字に到達するのに必要な時間は非オミクロン株の場合よりも1/2~1/3しかかかりません。これではあっというまに医療崩壊を起こしますし、それ以上にエッセンシャルワーカーが感染する可能性が高くなり、社会インフラの維持が難しくなる可能性もあります。

つまり、オミクロン的変化が生じることは極めて危険な変化なのです。コロナの社会的影響を考えると、オミクロン株こそがラスボスなのかもしれません。

さらに、先にもこのブログで説明したように、デルタ株とオミクロン株ではもとになったウイルスの株が異なります。

つまり、デルタ株とオミクロン株は連続変異ではありませんから、今後まだ新しいウイルスが出てくる可能性があります。

1つは、オミクロン株と同様に「起源を異にする株から発生する新しい変異株」ですが、もう一つは、「デルタ株とオミクロン株の複合株」が発生する可能性です。

これは「デルタ株の毒性とオミクロン株の感染性」を有した変異になる可能性が高く、「ラスボスの次のラスボス」になる可能性もあります。

まだまだ油断はできません。

 

診療予約