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新型コロナワクチンの筋肉注射について

新型コロナワクチンの筋肉注射について

新型コロナワクチンの第3回目接種の方も多くなってきました。

日本では昭和30年代に起きた大腿四頭筋拘縮症事件の影響で、長らく筋肉注射(筋注)のワクチンが使われてきませんでした。

大腿四頭筋拘縮症事件というのは、小児に筋注をしたところ大腿四頭筋という足の筋肉に障害が出てしまった事件です。

これは、アセチルサリチル酸という「筋注してはいけない薬」を大量の補液を頻回に小児の筋肉内に投与したために生じたものなのですが、当時の日本小児科学会と厚生省は、なぜか「筋肉注射がいけない」という結論にいたり、日本では長らく筋肉注射が行われてきませんでした。

このため日本のワクチン接種は皮下注射がほとんどです。

しかし、世界的にはワクチンは筋肉注射が一般的で、日本のように皮下注射をしている国はほとんどありません。

そのようななか当院院長は、まだ日本では筋肉注射のワクチンがない2000年初め頃から、世界標準のワクチン環境を整えるために数々の海外ワクチンの日本への導入と開発を行ってきました。

さて、日本では筋肉注射をしてこなかったこともあり、日本でワクチンの開発や臨床研究をやっている人で、「ワクチンを打った部位の筋肉がどうなっているか」を病理組織学的にきちんと見て理解している医師はほとんどいません。もちろんワクチン企業の中にもほとんどいないのが現実です。

当院院長は「ワクチン接種後の筋病理」の知識をもつ、数少ない日本人医師の一人です。

ワクチンを筋肉内に投与すると免疫反応が惹起されますから、筋肉に炎症が起きます。今回のコロナワクチンではコロナウイルスのタンパク質の一部を発現する修飾RNAを投与して、注射部位の細胞でこのタンパク質を作らせて、それを体に認識させ抗体を作らせる、という仕組みです。アジュバント(免疫増強剤)添加型のワクチンよりは炎症の度合いは低いものの、特に筋肉注射をする部位である三角筋という筋肉には接種後、ほぼ必ず炎症が起きます。これが注射後腕が痛くなる原因です。

肩の関節は漫画の関節のようにかみ合った関節ではなく、肩、首、背中、腕の筋肉が腕を釣り上げているだけの関節ですので、腕の三角筋が炎症を起こすと首、肩、背中の筋肉が過度に緊張します。このため、首や肩が凝ったり、頭の後ろ側が痛くなったりします。中年の方の場合には、腕の痛みで肩を動かさなくなることで二次的に四十肩、五十肩が悪化することもあります。

これを避ける方法は割と簡単で、ワクチン接種をした三角筋部位に「冷たいシップを貼ること」です。まったく痛みがない状態になるわけではありませんが、痛みは大分楽になると思います。シップを貼るときのコツは、

1)ワクチン接種後、痛みが出る前にシップを貼ること

2)冷シップ、できれば鎮痛成分の入っているもの(フェイタスとか、ロキソニンパップ)が良い(ただし、喘息のある方は鎮痛成分の入っているシップは使えないのでご注意ください)

3)冷シップがない場合や、喘息のある方、お子さんの場合には、「冷えピタ」でよい

だけです。

大切なことは、「筋肉注射の接種部位は絶対に揉んだりマッサージしないこと!」絶対に守ってくださいね。

簡単にできる割には、各段に痛みが少なくなりますよ。

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