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ノババックスのコロナワクチンが心配

ノババックスのコロナワクチンが心配

「ヌバキソビッド筋注」という名前のノババックス製ワクチンが承認されたそうです。

ノババックスは日本に法人を持っていないので、武田薬品が日本国内での製造と流通を行います。

ノババックスのワクチンは、ウイルス由来のたんぱく質の一部をバキュロウイルスを使った細胞培養システムで増やして製造するタンパク質サブユニットワクチンに、植物のサポニン由来の新規アジュバントを混合・添加することで製造します。

 ファイザー、モデルナのmRNAワクチン、アストラゼネカのアデノウイルスベクターワクチンとは異なり、ノババックスのワクチンはタンパク質サブユニットワクチンで、Matrix Mという新規アジュバントを含有しています。Matrix Mは液性免疫だけではなく細胞性免疫の活性化作用も有するサポニンベースのアジュバントで、ノババックス社との契約でAGC Biologics(旭硝子)のコペンハーゲン工場、シアトル工場で生産しています。ノババックスワクチンのタンパク質サブユニット部分はインド血清研究所やスペインのMabionで製造されています。武田の光工場で生産するのはタンパク質サブユニット部分で、AGC Biologicsが製造したサポニンベースのMatrix Mアジュバントと混合して製品化されます。

 ノババックスのワクチンはカナダ、オーストラリアでは承認されていますが、ヨーロッパでは欧州医薬品庁による緊急承認のみです。ヨーロッパで使っているのはドイツぐらいのはずです。

WHOも緊急承認していますが、主な用途は開発途上国・低所得国向けのCOVAXプログラムへの供与です。ただ、なぜか製造・出荷が遅れておりCOVAXプログラムへの実際の出荷はまだあまり行われていないようです。

武田は年間25000万ドースの生産を行い、日本に15000万ドースを供与して、残り1億ドースはCOVAXプログラムに提供する予定です。

ノババックス製ワクチンは「日本国内で製造するワクチン」としてはアストラゼネカのワクチンに次いで2番目です。

米国への申請は予定より1年以上遅れて昨年末に申請しておりますが、残念ながら本日4月19日現在、米国FDAは承認していません。FDAが未承認の理由は不明ですが、FDAは追加データの提出を要求しているようです。

EUでも複数の国が使用を延期してノババックスとの契約を撤回することを検討しているという話もあります。

 サポニンベースのアジュバントは優秀なアジュバントではあるのですが、作用機序に不明な点も多く、GSKのシングリックスに使用されているQS-21も安全性の確認に長年を要しました。Matrix Mは臨床試験数も使用症例数も少なく、安全性データが少ないのが不安のひとつです。

Matrix Mはサポニン、リン脂質などからなる免疫賦活複合体(ISCOM:Immunostimulating Complex)でCD8+T細胞を活性化して、アジュバントと同時に投与したウイルス抗原をT細胞に認識させて長期間の高抗体価誘導を行います。この際に非特異的な免疫賦活が発生すると自己免疫疾患などの誘発につながるので、事前混合された抗原にのみ免疫賦活効果を発揮するような特性がアジュバントには必要なのですが、Matrix Mには「抗原と同時投与しなくても高抗体価を誘導できる」効果があるようなのです。これは自己免疫疾患の発生につながりうる重要な特性ですから、100万分の1~10オーダー(1~10 ppmレベル)の安全性検出感度を持つ臨床試験が必要で、最低でも5~10万人レベルの臨床試験が複数必要ではないかと思うのですが、ノババックスの大規模III相臨床試験はUSの30000人の試験とUKの15000人の2つで、その他はII/III相を入れても数100~数1000人レベルの臨床試験が数本なので、どうしても安全性の懸念が残ります。

また、Matrix Mの特性上、皮下に投与することは避けたいのでしっかりと筋肉内に投与する必要があります。

さらに、ファイザーやモデルナのmRNAワクチンとノババックスのサブユニットワクチン+サポニンアジュバントの互換性がどうかは検討されていませんので、どう使って良いのかもまだ明らかではないと思います。

マスメディアが報道しているような「副作用が少なくて良いワクチン」とは思わない方が良いですよ。

 

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