HOME > ブログ > ワクチンの効果について考える

ワクチンの効果について考える

当院でも発熱外来の受診患者数が多くなっていますが、全国的にコロナ感染患者数が高止まりしている状況が続いています。

「1回コロナにかかったから、もうかからないですよね?」

というお問い合わせを多くいただくのですが、

い~え、そんなことはありません。

コロナウイルスに対する免疫はそんなに強いものではなく、ワクチンを打っても、コロナにかかっても、無敵モードにはなりません。

当院の患者さんでも、2度、3度とコロナにかかっている方もいらっしゃいますし、つい先日には、

7月末にコロナにかかって、8月初めに療養解除になったばかりの患者さんが、2週間後に発熱してコロナに再感染した

ケースもありました。

2020年から毎年コロナにかかっていて、2022の陽性で3回目!

という方もいらっしゃいます。

このブログでも書いていますし、私がワクチン開発責任者だった時から言っていることですが、

「呼吸器系感染症のワクチンに高い感染予防効果を期待してはいけない」

のです。ワクチンだけではなく、コロナに自然感染したとしても100%の感染予防効果など得られるはずもないので、2度、3度と罹患することはあり得ます。

ましてやコロナウイルスって、もともとは上気道感染症のウイルスです。

新型コロナの前から、毎年風邪もひいていたでしょうし、年に何回も風邪をひくこともあったでしょう?

その原因になる、何種類もある風邪のウイルスの1つがコロナウイルスの系統ですから、

「100%の感染予防効果なんて期待できない」

のは当然です。一方で、

「ファイザーやモデルナのワクチンは95%の感染予防効果がある」と言っていたじゃないか!

というお声もあります。

例えば、総数40,000人の臨床試験を組めば、ワクチンとプラセボそれぞれを20000人に投与できます。プラセボは「何もしていない」のと同じ状態なので、コロナに普通にかかるでしょうから、例えば160人がコロナに感染したとします。

これに対してワクチンを投与された群では8人が感染したら、

本当は160人かかるはずだったのが8人に減ったから95%の感染を抑制した

という表現になるのです。もし抑制率が90%なら16人、80%なら32人は感染する訳ですから、20,000人にワクチンをうっても、130人~150人ぐらいの感染が減らせる、というのがワクチンの効果です。

「20000人中160の感染なんて少ないじゃないか!」と思われるかもしれませんが、感染率0.8%、日本の総人口を1億2000万人とすれば、20,000人のサンプルは6000分の1のサンプリングになりますから日本全国だと960,000人が感染している計算ですから、決して少ない数ではありません。

ワクチンを打った側だけを見ると、20,000人うって150人の発症を抑制できたので、1人の発症を抑制するためには133人にワクチンを打たなくてはいけないことになり、逆の見方をすると、100人にワクチンをうつと0.75人の発症を抑制できる、ということになります。

思っていたよりも小さい数字に見えますが、それでも社会防衛としての感染予防効果はあるのです。

 

 

診療予約