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2類と5類の間ー全例登録をやめたら起きること

コロナを2類扱いから5類にするべきだ、という論争があります。

5類にするべきだ、という理由に「医療機関の負担を減らすため」というのがあります。

HER-SYSというシステムに全例登録するのですが、テレビでHER-SYS入力をしている先生の映像ではラジオボタンを1つずつ「あり」、「なし」を選んで入力しているように映っていましたが、実際には一括入力用のボタンがあるので、それを使ったり、電子カルテからのコピペを使ってササッと入力していますので、そんなに大きな労力ではありません。

実は5類にすると大変大きな問題が発生するのですが、ご存じでしょうか?

5類に変更する、ということは、定点観測施設からの報告のみになる、ということです。定点観測施設以外で診療した患者さんは患者登録されることがありません。あるいは、2類のまま重症者のみの登録にする、という方法も議論されているようです。

現在は全例登録ですから、感染した方は全員登録されています。自宅療養も入院療養と同等に扱う、という通知が出ていますので、自宅療養中であっても保険から入院補償金を受け取ることができますし、HER-SYSから自宅療養の証明書を無料で取得して保険会社に提出することができました。

一方、5類に変更、ないしは、2類で重症者のみの登録にすると、多くの感染者は患者登録されることがありません。患者登録されない、ということは、HER-SYSからは自宅療養証明書を取ることができなくなりますから、かかった医療機関に保険会社提出用の書類を提出して記入してもらわなくてはいけません。

保険会社の書類は各社で様式が違うことが多く、プリンタで印刷することが難しいので手書きをしなくてはいけないことも多いので、手間がかかります。クリニックでは書類作成費用を支払わなくてはいけないかもしれません。たとえ書類を提出したにしても、自宅療養ということは軽症ですので、入院と同等とは言えませんから、自宅療養だけでは保険金の支払いは困難になるだろうことは容易に予想できます。

結局のところ、「自宅療養を入院療養と同等とされたことで支払金額が膨らんだ保険会社」が今後も支払を続けることは困難になってきたので、「重症者限定にして支払い対象を絞り込みたい」という思惑が裏にあるであろうことは容易に想像できます。

「コロナなんてどうせ風邪だから5類でかまわない」と言っている方々はこういうことが起きるであろうこともわかっているのでしょうか…

 

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