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コロナとニッキ飴

コロナとニッキ飴

いつもは超・科学的な院長ですが、たまに妙なことを言い出します。

「コロナ予防にニッキ飴を舐めると良いと思うんだよな~」

 

でも、これはあながち全く無謀な話ではなさそうなのです。

「ニッキ(シナモン)」というのは、生薬として使われている「桂皮(けいひ)」のことで、葛根湯、桂枝湯、桂枝茯苓丸などの医療用医薬品として広く用いられている漢方薬の成分でもあります。

実は動物実験では、桂皮にはインフルエンザの予防効果があると推測されており、ヒトでも同様の効果が期待されています。

でも、こういった話はよくあることで、「〇〇という食べ物は△△という病気の予防に役立つことが動物実験で示された!」なんていうのは毎日のように新聞やテレビに出てきます。

ただ、これまじめに検討してみると、動物実験で予防効果を示した量は、とても人が食べきれるような量ではなかったりするんですよね。

まあ、将来の研究の方向性を示す、という意味では興味深い点もあるのですが、現実的には「毎日トマト10kg食べろ」とか「毎日ワイン3リッター飲みなさい」とかと言われたって無理ですから、なかなか1つの有効成分だけで健康を守る、というのは難しい話なのです。

ところが、ニッキ(シナモン)のウイルス増殖抑制効果は面白いことに、その芳香暴露によっても生じます。

どういう意味かって?  要は「ニッキ(シナモン)のにおいをかぐことがウイルス増殖を抑制する」っていうことです。

インフルエンザに限らず呼吸器系に感染するウイルスは咽頭部分で増殖しますから、この咽頭部分に芳香暴露をするとなると、一番有効な投与方法は「飴」の形でゆっくりと長時間かけて摂取することです。簡単にいえば「ニッキ飴を舐める」ってことですね。

実験的にはシナモン原液の芳香暴露を1時間するとインフルエンザの増殖が90%ぐらい抑制されるようです…とはいうものの、シナモン原液なんて辛くて口にできる代物ではないので、10倍希釈液を1時間暴露とすると40%ぐらいの抑制にとどまるようですが、まあ、それでもないよりはましです。

飴で1時間も暴露できないので、まあ、かみ砕いたりしないでのんびり舐めておく、ぐらいのことしかできませんが。

では、インフルエンザではなく、コロナウイルスとニッキ(シナモン)のデータはあるのか?というと、国内にはこんなことを研究している人はいなさそうだったのですが、海外ではいくつか論文が出ていました。まあ「効くかもしれないよね…」レベルの論文ばかりで、大規模臨床試験なんていうものはありませんから「眉唾」というか「信じる者は救われる」レベルの話と思った方がいいのかもしれませんけどね。

院長としては、「どうせ飴を舐めるなら、ちょっとでも感染予防効果の可能性があるものの方がいいよね」というレベルと思っていますが、BA2とかBA5は咽頭痛が強い症例も多いので、トローチ代わりに民間療法的に「黒砂糖+ニッキ」飴を舐める、というのも、ありかもしれません。

あ、先ほども書いたように、ニッキ飴は香りが大切なので、ニッキの香りの強い飴を選んだ方がいいです。

シナモンティーやシナモンコーヒーならいいのかもしれませんが、ニッキ飴をコーヒーのようなものと一緒に摂ると香りが飛んでしまうので、ニッキ飴はニッキ飴単独で楽しんだ方が良いと思います。

毎日毎日、発熱外来でコロナの患者さんを診察している院長は、今日も診療の合間に安いニッキ飴を舐めながら頑張っています。

 

 

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